新型コロナウイルス感染症の影響による、納税猶予の特例制度

1.国税の納税猶予制度の概要(通常の場合)

税法上、税務署長等は、納税者がその財産について震災・風水害・落雷・火災その他の災害を受けたりしたこと等の事実がある場合において、その該当する事実に基づき、納税者が国税を一時に納付することができないと認められるときは、その納付することができないと認められる金額を限度として、納税者の申請に基づき、1年以内の期間に限って、その納税を猶予することができるものと定められています。

ただし、上記の納税猶予の適用を受ける場合には、原則として、納税者はその猶予金額に相当する担保を国に提供しなければならないこととされています。

なお、通常の場合において税金を滞納したときは「延滞税」が課されますが、上記の納税猶予制度の適用を受けた場合には、延滞税は原則として免除されることとされています。

2.新型コロナウイルス感染症の影響による、納税猶予の特例制度案

4月7日に閣議決定された新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置(案)では、新型コロナウイルスの影響により事業等に係る収⼊(※)に相当の減少があった納税者は、1年間、国税の納付を猶予することができるようになるという、納税猶予制度の特例措置が講じられることとされました。

※ 個人の場合の「事業等に係る収入」については、経常的な収⼊ (事業の売上、給与収⼊、不動産賃料収⼊ 等)が該当しますが、いわゆる「一時所得(生命保険の一時金など)」は含まれないこととされています。

上記の納税猶予制度の特例の主な内容は、下記のとおりです。

① 対象者(法人・個人を問いませんが、下記の両方の要件を満たすことが必要です)

  1. 新型コロナウイルス感染症の影響により、今年2⽉以降の任意の1か月以上の期間において、事業等に係る収⼊が前年同期と比べて、おおむね20%以上減少している納税者であること
  2. 上記の理由から、⼀時に納税を行うことが困難である納税者であること

② 対象となる税金の種類

今年2⽉1⽇から来年(令和3年)1⽉31⽇までに納期限が到来する所得税・法⼈税・消費税等、ほぼすべて

の税金

③ 必要な手続き

  1. この特例制度の施⾏から2ヶ月後、または、納期限(申告納付期限が延⻑された場合は延⻑後の期限)のいずれか遅い⽇までに申請を行うことが必要
  2. あわせて、原則として、収⼊や現預⾦の状況が分かる資料を提出することが必要

④ その他

  1. 担保の提供は不要
  2. 延滞税はかからない
  3. 事業の状況に応じて、計画的に分割納付することも可能

新型コロナウイルス感染症が企業経営に与える悪影響は、当初の想像を遥かに超えるレベルにまで進展しています。このような状況下においては、政府の緊急融資制度や補助金・助成金制度の活用とあわせて、上記の納税猶予の特例制度も活用した資金繰り対策を講じておくのがよいのではないかと思います。

[参考]
通法46、63、財務省「新型コロナウイルスの影響により納税が困難な⽅へ 納税を猶予する「特例制度」(案)」(令和2年4月7日)など